CARIOCA - DUSK (1983)

70's 〜 80's 時代を駆け抜けたフュージョンバンド、カリオカ。サンバやボサノヴァを基調としたフュージョンを展開し、この時代のインスト系バンドでは絶大な人気を誇る。単語そのものの意味としてはブラジルのリオデジャネイロ市民を指した言葉であるが、まさに南米風情を醸すような楽曲を多数展開している。
カリオカの存在は以前購入した高中正義の Horizon Dream に収録されている Snooze から知った。浜辺の砂を柔手で優しく撫でるような、(海無し県在住なのだが) 懐かしさを誘発するようなノスタルジックな雰囲気が印象的で、高中正義ソロとしての超絶技巧よりも目を引いたというのが記憶に新しい。

こちらのダスク、カリオカの四枚目のアルバムとなる。ある程度気に入ったレコードを買い占め、14万もの金を投じて収集にほとぼりが冷めるかと思われたここ最近だったが、音楽に対して造詣の深い友人が某動画サイトを通じてこちらのアルバムを掘り下げて来たことをきっかけに購入に至った。

アコースティックなサウンドで、全体的に優しい印象を受ける。例えるならば、アダルトなどうぶつの森と言ったところだろうか。

トップバッターを飾るカリニョーゾ、初めて聴いた際、リアルに鳥肌が立つほどの感覚を覚えた。ジャケットに描かれた朝焼けのビーチに良く似合う、滑らかな音の波が素晴らしい。
全体を通して転調やエフェクトの掛け方が秀逸で、ついついプレーヤーのツマミをひねりあげてしまう程である。細やかな部分までみっちり聴きたい性分なので、届いたその日には7周ほどさせて頂いた。
おかげで今や独居を構える土地のテーマ曲となっている。あと半年もせずにこの土地を離れていかねばならないわけだが、果たして故郷で聴くというのは如何なものか。あくまで予想に過ぎないが、きっとどこか別の故郷 (ふるさと) を思い出してしまうことだろう。

改めて、この原石を掘り出してくれた学友、否、盟友に敬意を表すとともに彼との友情を意味するアルバムとして大切にしていきたく思う。

私のレコード録

空蝉 夏目 と 惰眠 というペンネームで小説やエッセイを書いたり、フィルムカメラを嗜んでいます。2000年生まれの人間から見た昭和曲を、ヴァイナル盤を通して書き綴っていきます。

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