Piper - Summer Breeze (1983)
山本圭右率いるバンド、パイパー。テクノが流行り始めた80年代初頭、打ち込みによるシティミュージックを提案し、世に送り出そうと考えたのが彼らであった。しかし思ったより売れていない。当時の人の考えからすれば、既に売れていた山下達郎やらに夢中であったようである。また、サマーブリーズ発売時期にレコード会社のゴタゴタに巻き込まれ、権利関係も不明瞭になり、スポットを浴びることがそれ程無かったそうである。
しかしながら数十年の時を経て海外のレコード会社からお声が掛かり、再発盤としてピンクビニルレコードという形で世に放たれることとなった。売り込みが掛けられたのも割と最近だが、海外の音楽関係者からの支持も熱い本作である。
打ち込みならではの音の軽快さ、音が軽すぎるとかいう理由で忌避していたアーティストも居たようだが、この軽さは夏のからりと晴れた日を思い出してくれる、そんな気がする。
波の音が遠くから近付いてくるなり、雪崩込むように始まるShine On 、軽快なリフが続くイントロからアウトロまでの流れ込みがとても良い。波を具現化したらこれが出来ると感じる一曲。インストが多い中で珍しく歌が主体となる Summer Breeze、インストに絡むように流れていく部分が夏だという感じがする。A面からB面にかけて感じられるビーチでの時間軸。曲調やテンポに至るまでの技法を巧みに使いながら、これは朝だ、夜だと感じさせてくれて非常に聴きやすい。
あくまで噂に過ぎないが、マリオの無敵状態のBGMは、Summer Breeze の冒頭のギターリフから取られたものなのだとか。そう言われてから聴いてみると似ているなぁと感じる。人口規模にせよ音楽性にせよ、シティミュージックは欧米の方が圧倒的に強い。1980年代当時も強かったのではないだろうか。もしこの話が事実であったらとても嬉しい限りである。
2020年から再び息を吹き返した昭和ポップスブーム。当時花開けなかった分、Piperには大きく羽ばたいて欲しい……
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